牛乳といえばカルシウムが豊富というイメージですよね。
では、実際のところ、牛乳から得られるカルシウムはどれほどなのでしょうか。
次の3つの点から牛乳とカルシウムの関係をご紹介したいと思います。

1. 牛乳にカルシウムが豊富なのはなぜ?

牛乳はもともと子牛の生育のためにあります。子牛は体重約40kgで生まれ、生後約47日で体重が2倍になります。これほど早く成長するには、体を支える骨もしっかり成長する必要があることから、牛乳には113mg/100mlもの豊富なカルシウムが含まれています。

ちなみに人間の赤ちゃんの体重が2倍になるのは生後約180日で、母乳のカルシウム含量は牛乳の約1/4(27mg/100ml)です。母乳に含まれるカルシウムやたんぱく質の濃度が高い動物ほど、子どもの成長が早くなります。

2. 牛乳はカルシウムの吸収率が良い?

牛乳のカルシウムの吸収率が良いのは、牛乳中の成分に関係しています。牛乳は他の食品に比べてカルシウムの吸収が高い食品で、吸収率は40%というデータもありあます。カルシウムの吸収が優れている理由は次の通りです。

1)カゼイン(牛乳中の主なたんぱく質)の分解物であるカゼインホスホペプチド(CPP)が、カルシウムのイオン状態を保持して吸収率を高めています。

2)牛乳中の乳糖が小腸の吸収細胞に作用し、カルシウムの吸収を促進します。

3)牛乳のカルシウムとリンの比率は理想的な1:1となっています。比率が1:1~1:2のとき最もカルシウムの吸収率が良くなります。リンが多すぎると骨などに貯えられたカルシウムと結びついて、体外へ排出されてしまいます。スナック菓子などにはリンが多く含まれています。リンを取りすぎたときは、カルシウムを取り入れるようにしましょう。

3. カルシウムの吸収率は体質によって違う?

カルシウムの吸収率は個人差が大きいといわれ、日頃から摂取量が多い人の吸収率はやや低く、少ない人は吸収率が高い傾向にあるそうです。また年齢によっても違いがあり、成長期までは高く、年齢を重ねるにつれて低下していきます。

骨粗鬆症の予防には、成長期にカルシウムを十分摂り丈夫な骨を作ることが効果的とされています。加えて毎日の新陳代謝によって古い骨は壊され新しい骨へと生まれ変わることを繰り返すため、成人以降でも継続的にカルシウムを補うことが必要です。

また、摂取したカルシウムが小腸から吸収されるにはビタミンDの摂取、もしくは体内でビタミンDを合成するため日光にあたることも必要です。牛乳飲量が多いにもかかわらずフィンランドなどの国で骨粗鬆症が多いのは、日光にあたる時間が少ないためビタミンDが体内で合成されにくいからという説もあります。

さらにカルシウムが骨に沈着するには、骨へ負荷を与えることが大切であることから運動も必要とされています。
骨粗鬆症の発症には遺伝的要因も関与するともいわれており、カルシウムを摂っていても発症してしまう場合もあります。発症のリスクを軽減するためにも、食生活および生活習慣の改善や骨量を量って自分の骨の状態を知るなど早めの対策を心がけましょう。